2020年5月22日に地上波で初めて映画「名探偵ピカチュウ」が放送される。

2019年5月にこの映画が放映されるまでに、長編、短編合わせて実に39本の映画が作成されているが、
これが初の実写映画になり、鱗、しわ、毛の一本一本まで作り込まれた超絶リアルな3Dポケモンがスクリーンに表現された。
特にしわくちゃのピカチュウは、多くの人の目を奪いSNSなどを通じ広く知れ渡った。

しかしこの映画、古くからポケモンを知っている人には少し違和感があるかと思う。
ピカチュウが人の言葉を話し、熟考し、発言する。
これはニャースの専売特許だったのではないのか?(アニメ版の。)

まあ理由は映画を見れば分かるのだが、ポケモンがこの方向性に持って行った背景を自分なりに考えてみた。

ポケモンが何か詳しく知りたい人はWikiでも見ていただければと思うが、
さっくり言うと
メインシリーズだけで2億本売っているコンソールゲームに加え、
ポケモンGOなどのFree-to-Playも網羅しているゲームコンテンツだ。

とはいえ、初代の圧倒的な強さに勝てずいまだにタイトルホルダーは1996年発売の赤・緑・青。
発売されたときに遊んでいた方々は今やアラサー・オーバーサーティーになり、
2020年3月前まではゲームに時間を用意することなど難かったことが想像できる。
減り続けるゲーム売上、上昇していくユーザー年齢。
若年層やこれまでポケモンのターゲットにならなかった層を獲得できる、
コンテンツの用意が必要だったのだろう。

ゲーム自体、年々複雑化するシステムに増殖し続けるクリーチャー数。
ゲームビギナーに難しいし、お子様も難しい。
ということで、理解しやすいUX、見て可愛いUI、シンプルなストーリーラインを包括するものが2016年2月発売の「名探偵ピカチュウ」だったのだ。

ちなみに、ポケモンは世界一稼いでいるコンテンツで、2019年までに920億ドルも稼いでいることはご存知だろうか。
もちろんゲームの収益は決して小さくない。
しかしながら主な収益源は今やゲームではなくライセンスビジネスなのである。
その収益、610億ドル
2/3がライセンスと驚異的すぎる。
(ちなみに仕事を選ばないハローキティ先輩は全売上の99%がライセンスの異次元である。)

すでにライセンスビジネスで認知され、キャラクターとして世界トップクラスに稼ぎまくるピカチュウを全面に立たせて、
海外受けも意識して、
開発陣も困惑するほどの印象破壊をして生まれたのが、ゲーム「名探偵ピカチュウ」。
今までと違うアドベンチャーゲームとシンプルな操作性が話題になり、
ユーザー層も変化した上、日本国内では8万本を売り上げた。

ポケモンGOはというと、
5000万ユーザー獲得までの時間指標を用いると、
2016年7月のリリースから19日で5000万ユーザー突破したことを見ると、
新規ユーザーの獲得は成功だと言えるだろう。
ちなみにこの数字はAarogya Setuというインドのコロナウイルス用追跡Appが出るまで世界最速だった。

ポケモンGOの成功もありハリウッドから実写映画のオファーがポケモンに。
ライセンスビジネスのいろはを知っているポケモンの選択は、
フィールドも一つでシンプルなストーリーラインの名探偵ピカチュウの映画化だった。

そして2019年の今頃、名探偵ピカチュウは封切りされた。
上映開始後のプロモーションも記憶に残る2時間踊るだけのピカチュウなど、話題性を絶やさなかったこともあってか、定説を覆したゲーム原作大ヒット映画となった

なおこの記録はセガが送り込んだスピードスター「ソニック」が2020年に登場するまでの短い記録だった。。。

一時期はデジモンや妖怪ウォッチなどの刺客も現れ、厳しい時代を過ごしたこともあったが、
時代や人々の思考/嗜好などを読み、でも時には流されと試行錯誤し
「ゲーム」に囚われず活躍の幅を広げているポケモン。
ゲーム業界が「こうあらなければならない。」というバイアスを壊し続けていくポケモンはやっぱり嫌いになれない。

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